私のアニメ経験は『となりのトトロ』で止まっています。
だから昨今のアニメそのもののことは、よくわかりません。
でも昨日、チャリンコをかっ飛ばして『君の名は。』を
観に行ってきました。
高森先生はまだご覧になっていないようなので
ネタバレしないように、読後感ならぬ観後感のみを。
胸がキュンと締め付けられるような切なさを覚えました。
それは高校生の淡い恋心をなぞったからというより、
人とのつながりをもう一度、確認したくなったから
なのだと思います。
単なるセンチメンタルと言えば、その通りかもしれません。
でも果たしてそれだけだろうか、とも思います。
君の名は。
「まだ出会ったことのない君」は、
なぜか「私の心の中」にある。
もしかしたら私が生まれる前から脈々と息づいてきた
「何か」かもしれない、とさえ思う。
それは美しい自然の景色なのか。
非合理的な風習なのか。
うっとおしくて息が詰まるような共同体なのか。
それとも連綿と続いてきたこの国の歴史なのか。
あるいはそれらをひっくるめた、
「私」というアイデンティティそのものか。
失われつつあるもの(そして失われてしまったもの)への
寂寞と焦燥と恐怖とがないまぜになって、
どうしようもない切なさが沸き起こる。
私はその切なさに向かって問いかけます。
君の名は――。
すると、ますます切なくなってしまうのです。
多分、もう一回、観に行くだろうな。
アニメ作品を、もう一度観たい(それも映画館で)と
思うのは、初めてです。